2026/07/28
そうした中、世界各国で注目を集めているのが「ブルーフラッグ認証」です。
ブルーフラッグは、ホテルのサステナビリティ認証「Green Key」と同じ、
環境教育基金(FEE)が運営する国際的な環境認証制度であり、
ビーチやマリーナ、観光船舶を対象としています。
2026年7月現在、日本では、12のビーチ、3つのマリーナが認定を受けています。
この認証は、単なる海の美しさを評価する制度ではありません。
水質、環境保全、安全対策、利用者への情報提供など、
持続可能な観光地として必要な基準を総合的に満たした場所だけが
認証を受けることができます。
ブルーフラッグが世界的な信頼を獲得している理由は、厳格な審査基準にあります。
認証の対象となるビーチは、次の4つの分野で高い水準を維持しなければなりません。
・環境教育
・水質
・環境マネジメント
・安全とサービス
これらは単独で評価されるのではなく、総合的に審査されます。
つまり、「海がきれいだから認証される」のではなく、
「地域全体で持続可能なビーチづくりに取り組んでいるか」が問われる制度なのです。
ブルーフラッグ認証の特徴のひとつが環境教育です。
認証ビーチでは、利用者や地域住民が環境について学べる機会を設けることが求められます。
例えば、
・海岸清掃イベント
・自然観察会
・海洋ごみ問題に関する学習会
・サンゴ礁や海草藻場の保全活動
などが挙げられます。
単に観光客を受け入れるだけでなく、地域の自然環境への理解を深める役割も担っています。
ブルーフラッグ認証において、水質は極めて重要な審査項目です。
利用シーズン中は定期的な水質調査が実施され、
大腸菌や腸球菌などの微生物指標が国際基準を満たしている必要があります。
また、水質データは利用者が確認できるよう公開しなければなりません。
透明性の高い情報公開によって、安心して利用できる環境づくりが進められています。
美しい海岸環境を維持するためには、日常的な管理も欠かせません。
ブルーフラッグでは、
・ごみの回収と分別
・リサイクルの推進
・公衆トイレの維持管理
・排水対策
・生態系の保護
などが基準として定められています。
特にサンゴ礁や海草藻場など、環境への影響を受けやすい自然資源がある地域では、
継続的な監視や保全活動も求められます。
ブルーフラッグ認証は環境だけではありません。
利用者の安全と快適性も重視されています。
ライフセーバーの配置や救命設備の整備、緊急時対応計画の策定に加え、
障害のある方が利用しやすいバリアフリー環境の整備も推奨されています。
海を訪れるすべての人が安心して利用できることも、
持続可能なビーチづくりには欠かせない要素です。
ブルーフラッグ認証は、環境保全だけを目的とした制度ではありません。
地域の自然を守りながら観光振興につなげる仕組みでもあります。
認証取得によって、
・観光地としての信頼性向上
・地域ブランド力の向上
・環境意識の醸成
・持続可能な観光の推進
といった効果が期待されています。
ブルーフラッグ認証の審査員研修を受講してからというもの、
ビーチのニュースに敏感になりました。
日本の海水浴場を取り巻く現状として、
1990年度には全国には1,380か所の海水浴場がありましたが、
2024年度には3割減の970か所まで減少しているとされています。
ピーク時の9割減ともいわれる利用者の激減や地球温暖化に伴う猛暑、
砂浜自体の減少が主な理由です。
こうした状況を考えると、海水浴場は決して「そこにあるのが当たり前」の存在ではありません。
安全管理や環境保全、施設維持には多くの人々の努力とコストが必要であり、
それらが十分に確保できなければ、ビーチは存続そのものが難しくなってしまいます。
だからこそ、ブルーフラッグ認証のような国際基準の意義はますます大きくなっていると感じています。
ブルーフラッグは単なる環境認証ではなく、
水質管理、環境教育、環境マネジメント、安全対策を総合的に評価し、
ビーチの価値を継続的に高めていくための仕組みです。
私自身、今後は認証を取得したビーチや、
これから取得を目指すビーチの審査に携わる機会があるかもしれません。
審査員という立場であっても、海や地域を尊重する一人の人間としても、
日本各地にこうしたサステナビリティ基準に基づくビーチが増えていくことを願っています。
美しい海岸環境は、地域の誇りであり、大切な観光資源でもあります。
その価値を次世代へつなぐためには、
「利用する(消費する)場所」から「守り育てる場所
2026/06/13
ホテルで消費されなかった果物やパンなどを、よこはま動物園ズーラシアの動物の餌として活用する――
いわゆる食品ロスの「地域内循環」です。
2025年の実証実験を経たこの取り組みが、今年も6月と7月に開催されるという内容でした。
ピックアップ 広報よこはま https://www.city.yokohama.lg.jp/koyoko/2026/0928/0928-02/
その時、私は「なぜこうした取り組みは継続的に実装されないのか?」という疑問を抱いていました。
といいますのも、私自身もサステナビリティの専門家として旅館でコンサルティングを行っていた際に、
「以前は食品廃棄物を養豚場に送り、飼料化していたが、手間がかかり続かなかった」
という話を聞いたことがあるからです。
記事の問い合わせ先となっていた横浜市資源循環局にメールをして、
・継続的な実施に至っていない主な要因(制度面、物流面、安全管理面、コスト面など)
・関係事業者間の調整における課題
・今後、定常的な取組へ移行するにあたっての検討状況や方向性
について伺いたいと問い合わせをしたところ、担当の方から、
「ちょうど本日、月に1度の継続的な取り組みとして実施していくことを公表しました」
と新たな記者発表をご共有いただきました。
なぜこのような取り組みが続かないのか、
環境省の「生ごみ等の飼料化・たい肥化の現状及び課題等について」という資料に目を通すと、
食品製造業からの飼料向けの利用量は発生量に対し27.9%。
旅館やホテルが含まれるであろう外食産業については同わずか2.9%でした。
(平成15年度:農水省および環境省資料より)
理由には、異物混入や規制原料、栄養成分などの飼料に求められる品質や安定的な供給、
生産コスト(既存飼料よりも安価であること)の問題が挙げられていました。
また、コンサルティングをしている旅館やサステナビリティ認証の審査をしているホテルでも、
「廃棄した方が手間がかからず費用も安い」という声を耳にしますので、宿泊事業者側での
経済合理性が働いている面も大きいようです。
今回の取り組みは、ブッフェで設定された時間内に消費されなかった果物に限定し、
そのまま同じ横浜市内の動物園の動物のおやつとして活用するため、手間やコストを
最低限に抑えられていることが継続に成功した理由ではないかと考えています。
また、単なる食品ロス削減にとどまらず、動物園を訪れた来園者が、
ホテルで未利用となった果物を動物が食べる様子を直接目にすることで、
環境への理解を深める体験へとつながっています。
こうした体験価値の創出により、観光コンテンツとしての価値も高めています。
これは、サステナブルツーリズムを推進に必要な要素
・環境(食品ロス削減)
・経済(運営効率・コスト削減)
・社会(教育・体験価値)
を同時に満たしており、“廃棄物”を“観光価値”に転換したモデルと言えます。
今回の横浜市資源循環局への問い合わせをきっかけに、意見交換の場を設けていただきました。
今後は、観光との連携も含め、資源循環の取り組みがどのように価値創出につながるのか
という視点で、課題