グリーントランジション指令(ECGT)と宿泊施設が2026年9月までに対応すべきポイントとは?
EU新規制が宿泊施設に与える影響とは
8月26日、Expediaから宿泊施設向けにサステナビリティ表示に関するメールが届きました。
Expediaグループは、EUの新たな環境表示規制への対応に伴い、宿泊施設のサステナビリティ情報に関する掲載ルールを変更すると発表しました。
今回の変更は、EU圏内の旅行者が閲覧・予約する宿泊施設が対象です。
そのため、日本国内の宿泊施設であっても、EUの旅行者が予約できる状態であれば影響を受ける可能性があります。
施設ページで「環境に優しい」「エコなホテル」といった表現を使用している場合、今後はその根拠が求められることになります。
なぜルールが変わるのか
背景にあるのは、EUが進める「グリーントランジション指令(ECGT)」です。
近年、企業による環境配慮のアピールが増える一方で、
根拠が不明確な「グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)」も問題視されてきました。
そのためEUでは、消費者が正しい判断を行えるよう、環境や持続可能性に関する表示基準を厳格化しています。
Expediaグループもこれに対応し、パートナー施設が掲載するサステナビリティ情報の取り扱いを見直す動きです。
宿泊施設が対応すべき4つのポイント
① 施設情報を確認する
まずは、施設名や説明文、設備情報を見直しましょう。
環境配慮に関する表現が含まれていないか確認します。
② 根拠のない環境表現は削除する
以下のような表現は注意が必要です。
・環境に優しい
・グリーンホテル
・エコフレンドリー
・地球に優しい
これらの表現は、客観的な証拠や認証がなければEU向け表示では使用できなくなります。
③ 具体的な取り組みを記載する
抽象的な表現よりも、具体的な事実を掲載することが推奨されています。
例えば、
・EV充電設備を設置
・太陽光発電を一部利用
・館内で分別回収を実施
・節水設備を導入
といった情報です。
利用者にとっても取り組み内容が分かりやすくなり、信頼性向上につながります。
④ 第三者認証の取得を検討する
サステナブルな宿として積極的にPRしたい場合は、ECGTの要件を満たす認証制度の取得も選択肢となります。
Travalyst認証イニシアチブとは
宿泊施設向けのサステナビリティ認証には多くの種類があり、旅行者や宿泊施設、予約サイトにとって
「どの認証が信頼できるのか分かりにくい」という課題があります。
Travalystは、その透明性を高めるために認証制度の公開リストを提供しています。
Travalystは認証制度の評価機関ではなく、
EUのECGT(Empowering Consumers for the Green Transition Directive)に適合していると
認証機関自身が申告できる仕組みを提供しています。
つまり、
・Green Key
・EarthCheck
・Green Globe
・GSTC認定を受けた認証制度
などの認証機関が、「私たちはECGT基準を満たしています」と申告し、その情報を公開するための仕組みです。
認証制度に求められる4つの条件
ECGTに基づき、認証制度は以下の条件を満たす必要があります。
・公平かつ差別のない参加条件
・専門家や関係者との協議による基準策定
・違反時の停止・取消手続き
・独立した第三者による監査
日本の宿泊施設にも関係する話
今回の変更はEUの法律ですが、日本のホテルや旅館、民泊施設にも無関係ではありません。
Expedia他、booking.comやagoda等の予約サイトを通じて海外旅行者を受け入れている施設は、
自社の掲載情報が新ルールに対応しているか確認しておく必要があります。
特に近年はサステナビリティを重視する旅行者が増えているため、正確で信頼できる情報発信が
これまで以上に重要になるでしょう。
まとめ
以上を振り返ると、EUが禁止したのは”サステナブル”という言葉ではなく、
“証明できないサステナブル”であるということがわかります。
宿泊施設は今のうちから、
・施設情報の見直し
・曖昧な環境表現の整理
・具体的な取り組みの掲載
・認証取得の検討
を進めておくことが重要です。
今回の制度変更は対応負担として受け止められがちですが、見方を変えれば、
自社のサステナビリティへの取り組みを客観的に整理し、その価値を旅行者へ正しく届けるための
ブランディングの機会とも言えるでしょう。
