Sustainable Tourism

Sustainable Tourismの市場規模は2027年にかけて3,360億ドル増加する

sourse: https://finance.yahoo.com/news/sustainable-tourism-market-size-grow-130000517.html?guccounter=1&guce_referrer=aHR0cHM6Ly93d3cuZ29vZ2xlLmNvbS8&guce_referrer_sig=AQAAAMv6_qHs5B5hYZbDV_xyvFlAXDN6Mi1oIEd03DtwMpCG_MpRh5YaDuOMSVkmByGV5PtNbwxXYBJycgmn_KneicTfWFnPKcZQkkb7uHthFMx-M4BS8I2WhJkbZV2cfWxUqK-SMpP-abo3QBF0PjllTPM-m_sdPinDZEODu9JfvhiQ

出所:Technavio /Sustainable Tourism Market Type, Booking channel, and Geography – Forecast and Analysis 2023-2027

英国ロンドンに本社をおく幅広い市場を調査対象とする調査会社インフィニティリサーチ社(Infiniti Research)の調査レポート出版部門であるTechnavio社は、持続可能な旅行の市場規模が、2022年から2027年にかけて3,360億ドル増加し、成長の勢いを示す指標としての年平均成長率は9.54%にもなるとしました。

年平均成長率約10%とのことですが、ある調査の日本国内の2021年から2021年にかけての業界別成長率ランキングを見ると、10%を超えているのは、AI、商品先物、家賃保証、ディスカウントストア、ネット証券、総合商社、アウトドア用品、保育、中古車、ゲーム、玩具業界だけでした。

グローバルでのサステナブルツーリズムの市場規模が今後の5年間平均して約10%成長するというのですから、凄まじい勢いで成長していく予測があることを認識できます。

さて、こちらの記事で、持続可能な旅行を推進する企業がいくつか紹介されていましたが、BOUTECO Ltd. が持続可能なデザインをリードするホテルと小規模で高級なエコホテルの(利害関係のない信頼できる)リストを提供している企業として紹介されていて興味を持ちました。

世界各国のホテルが120軒ほど一覧で紹介されており、各ホテルの取り組みや、ブテコが評価する点が記載されています。残念ながら日本の施設は掲載されていません。

TOPに紹介されているのは、インドネシア・バリ島にあるハイアットグループの『ALILA VILLAS ULUWATU』です。

ホテルの公式サイトではSusutainabilityのページが設けられており、そこではホテルの取り組む持続可能な取り組みがいくつも紹介されています。

■建築デザイン

建築は、シンガポールの有名な建築事務所 WOHA によって設計されたが世界レベルの洗練されたデザインであるだけでなく、デザインと同じくらいの環境的に持続可能な枠組みを優先。自然の美しさと風雨に対する耐久性で知られる、カリマンタンの森林に自生する木材などのリサイクルされたオーガニックな地元の素材を使用。

■グリーンイニシアチブ

Earth Checkから最高レベルの認証を受けたインドネシア初のリゾート。レインガーデンで水を節約もしている。

■エネルギー効率

溶岩石の屋根は熱を吸収して空調によるエネルギー消費を最小限に抑える。ほかにも、溶岩石には、断熱特性、退色への耐性、雑草の抑制といった利点がある。

■オーガニックガーデン

ゼロ・ウェイスト・ポリシーに沿って、リゾートの有機廃棄物から得られる栄養豊富な堆肥が活用されている。

■リユース&リサイクル

ガラス瓶→グラス、割れたガラスや陶器→タイル、タイヤ→ポット が主なアップサイクル。

■生分解性アメニティ

プラスチックのアメニティを生分解性で堆肥化可能な素材で作られたものに置き換えたバリ初のリゾート。

■サステナビリティラボ

「廃棄物を高品質で再利用可能なバイオ製品に変える実地研究所」というのがゼロ・ウェイスト・ポリシーの基盤。

■プラスチックイニシアチブ

Global Tourism Plastics Initiativeに署名。

■コミュニティに対して

廃棄物が公害にならないように、地域社会と協力、共同作業をする。

サスティナビリティがメインのブランディングになるほど徹底しています。

「Sustainability is the new luxury」(≒持続可能性は新しい贅沢である)というメッセージは、Alia Villas Uluwatuのサスティナビリティページの冒頭に記載されていたメッセージですが、非常に感銘を受けました。

国内外の観光業界にこのような概念を広げていきたいと考えています。

日本初のゼロ・エネルギーホテル『ITOMACHI HOTEL 0』

愛媛県西条市に2023年5月にOPENした ITOMACHI HOTEL 0 は、環境省が定める「ZEB」認証を取得した日本初のホテルです。

愛媛県西条市に本社のある、半導体機器製造メーカーで再生エネルギーや地方創生、まちづくり事業も展開する株式会社アドバンテック社と、国内外で話題のホテルを手掛ける株式会社GOODTIME社が、隈研吾氏の建築設計により開業しました。

予約時に無理を言って、ホテルの話を伺いたいと申し出たところ、なんとGOODTIME社の明山社長がお見えになり、館内外をご案内くださいました!

ゼロエネルギーの仕組みが一目で理解できるインフォグラフィックス

ホテルのレセプションに到着するとまず目に飛び込んでくるのは、インフォグラフィックス。
(そこまで目立つように置かれているわけではないのですが、私のように、ゼロエネルギーを目的として泊まりに来る人にとっては目に飛び込んでくるはずです)
以下で紹介するのはデモ画面ですが、ホテルが消費しているエネルギー量と生み出しているエネルギー量が掲載されています。
ZEBのために蓄電池とコージェネ(CGS発電機)も用意したものの、開業以来使用したことが無く、太陽光発電で全てまかなえているとのことでした。
また災害時の避難所としても機能するように、電力供給が止まっても72時間自家発電で電気が使えるようになっています。

水道代が無料の西条市

西条市は湧き水が豊富で、上水道が無料の市としても知られています。
水の豊富な西条市ならではで、客室には水の流れる仕組みがみられる透明の蛇口があります。

サステナビリティを徹底した客室アメニティ

客室には当然ペットボトルの水は置いておらず、西条の湧き水が入ったボトルが用意されています。客室からウォーターボトルに水を汲んで出かけることも出来るし、街中で水を汲むことも出来ます。
併設する『いとまちマルシェ』で買い物をするときにも使えるエコバックも用意されています。

滞在に便利な設備『ゲストキッチン』を併設

宿泊スタイルは、朝食付きプランはあるものの、夕食は提供しておらず『いとまちマルシェ』や近隣の飲食店を紹介しています。あるいは、ホテル内にキッチンがあるのでよそで購入したものを持ちこんで調理をすることも出来ます。
訪問者に滞在中に街中に出てもらうことは、ホテルがサステナブルな地域づくりに貢献するのに重要な視点です。

サイクリストの滞在にも最適!

客室内にそのまま自転車を持ち込める仕様となっている上、駐輪場、コインランドリーもあり、サイクリストの滞在にも適しています。サステナブルツーリズムへの相性も抜群です。

『愛媛のたのしみ』を0から体験―愛媛づくしのホテル

  • 客室の色調は、伊予青石を基調にしたブルー
  • 朝食は、地元愛媛の産地から仕入れた旬の野菜や果物を使用
  • 砥部焼の窯元「遠藤窯」によるオリジナル湯呑と急須
  • 松山市「ICOI COFFEE」によるオリジナルドリップパック
  • 西条発の銘菓「たぬきまんじゅう」
  • 愛媛有数のお茶どころ新宮町で、古くから新宮茶のパイオニア「脇製茶」の緑茶
  • 愛媛在住の和紙デザイナーによる和紙アート
  • 西条の水の音をサンプリングした自動温泉構築システム「AISO」による館内音楽

等々、愛媛にどっぷり浸かった滞在ができます。愛媛を中心にホテル建設にかかわった方々が紹介されたパネルもあります。

ITOMACHI HOTEL 0 の生まれた経緯

実はこのホテル。ホテルありきで造られたのかとと思いきや、アドバンテック社が西条市の住民から意見を募って作られたのだそうです。
同社が再生可能エネルギーの拠点づくりのために地方をめぐる中で「人がいない」「何もない」「活気がない」という日本の地方都市の厳しい現実を実感させられました。地元西条も例外ではなく、「街のにぎわいを取り戻したいこと」、「若者や挑戦する人にチャンスを与えられる街にしたいこと」の2つを趣旨にした上で、隈研吾さんとプロジェクトを始動。住民の意見を取り入れたところ、ホテルという拠点が採用されたとのことでした。
どうしても「日本初」という冠にはこだわりたかったという明山社長。
水資源が豊富な西条市というブランドとも相まって、日本初のゼロエネルギーホテルが完成したようです。
オープン後は、市民から「帰省した親族が泊まる場所ができた」と喜ばれているそうです。

ITOMACHI HOTEL 0 を訪れてみて

念願叶って訪れたITOMACHI HOTEL 0では、

  • ゼロエネルギーを視覚にして伝えるインフォグラフィックス
  • 愛媛県産のものをとことん追求・表現した設備、備品、アメニティ、食事
  • ゼロエネルギーホテルを謳いながらも僅か60㎡の客室に最新のエアコンが3台も設置されていること、それが必要ないほどの客室の機密性の高さ
  • ホテル外への回遊を促す滞在の提案
  • 宿泊客に媚びる(主張する)ことなくスタイリッシュにサステナビリティを実現していること
  • 地元住民の声から生まれて、支持されているホテルであること
  • 災害時の避難拠点となっていること

等、私にとっては興奮ものでしたが、私のように”ゼロエネルギー”が滞在動機となり泊まりにくる客は全体の3%程度だそうです。(企業や団体の視察は除く)

明山社長も、「なんか素敵なホテルだな」とか「評判の良いホテルだから」と泊まりに来たら、実はゼロエネルギーホテルだったと気付いてくれる位で良いと思っている とのことでした。

旅行者がサステナビリティに熱心に取り組んでいる宿を選ぶという消費行動はまだまだ先の話になりそうですが、サステナビリティに取り組む宿に泊まった事実というのは、結果的に宿泊客にとって後味の良いものになるのだろうと思います。
宿泊業では、滞在前と滞在中の印象を良くすることは比較的手が付けやすくアイデアも出やすいですが、滞在後の印象を良くすることは難しく、ハードルが高いものです。
その点、サステナビリティ経営に注力している宿は滞在後の評価を上げることができるのが大きなアドバンテージとなるのだろうと考えさせられた滞在となりました。


Sentosa Development Corporation has joined as a Member of the Global Sustainable Tourism Council (GSTC)

Global Sustainable Tourism Council(GSTC)とは、グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会は、世界的な旅行および観光分野における観光産業界の専門家や、政府機関のための持続可能な開発の基準を定め、管理する国際非営利団体です。