Sustainable Tourism

“選ばれる理由”をもつ、スイスホテル南海大阪

はじめに:日本のシティホテル初の環境認証「Green Globe」を取得したスイスホテル南海大阪

大阪・難波の駅直結。にぎやかな街の真ん中にあるスイスホテル南海大阪は、2024年に国際的な環境認証「Green Globe」を取得。日本のシティホテルとしては初めての事例となっています。

ホテルの屋上で水耕栽培:「THE SKY FARM」

ホテルの屋上で水耕栽培しているレタスやパセリ、ミント、エディブルフラワーはホテルの朝食やレストランで提供されています。自社で生産することで、以下の環境負荷を削減しているといいます。

自社で農産物を栽培することで輸送が不要となることによる、二酸化炭素排出量の削減
・立体装置での栽培による農地面積の削減、収穫頻度の向上
・生態系に影響を与える農薬の排除
・生産量増減や物流などに影響を受けず、新鮮で安定した食材の提供
・水を大量に消費する灌漑方式ではなく循環式を採用し、水の使用量を最小限に

廃棄量の削減:使い捨てプラスチックの削減と食品廃棄量のモニタリング

客室のアメニティはリフィルタイプのものに変え、ミネラルウォーターはガラス瓶で提供。
その他のアメニティもリサイクル可能なものに切り替えています。
食品廃棄においてはwinnowを導入し、モニタリングを徹底しています。

・年間36トンの二酸化炭素削減
・水消費量を45%削減
・年間約735万円分の廃棄量削減
・年間21,000食分のフードロスを削減
・年間8トンの食糧廃棄を削減

の成果を上げています。

宿泊客の選択が緑とこどもを救う:タオルと客室の再利用プログラム

宿泊客がタオルのリユースや客室清掃を辞退することで、削減できた水とエネルギーを児童福祉施設「SOS チルドレンズ ヴィレッジ」に寄付することもできます。
専用の宿泊プランで泊まると、一泊あたり1,400円が、清掃不要を申し出るとさらに追加で1,000円が寄付されます。

サステナビリティの広がり:インクルーシブな取り組み

サステナビリティというと、環境への配慮が注目されがちですが、社会的な持続可能性も非常に重要な要素です。
その一例として、スイスホテル南海大阪では、LGBTQIA+のゲストやスタッフが安心して過ごせる環境づくりに取り組んでいます。

大阪観光局よりLGBTQ+フレンドリーホテルとして認定されており、従業員は入社時に大阪観光局が開催しているLGBTQセミナーと、アコーが開催するダイバーシティ&インクルージョンに関する研修を受講しています。
さらに、各関連部署の担当者は、Booking.comが導入した教育プログラム「Proud Hospitality」を修了しています。
また、LGBTQ+フレンドリーな観光事業者のネットワーク「IGLTA」の認定ホテルでもあり、誰もが楽しめる旅行、そしてLGBTQ+のゲストに対してより良質なおもてなしを提供できるようにしています。

このような取り組みは、社会的責任を果たす宿泊施設の姿勢として、今後ますます重要になっていくでしょう。

まとめ:サステナブルなホテルが宿泊客に届ける「気づき」

今回スイスホテル南海大阪を取り上げたのは、前回のブログでGreen Globe認証を取り上げたのがきっかけです。
環境認証の取得や屋上農園、食品ロス削減など、サステナブルな取り組みを多角的に実践されています。

まだ実際に訪れた事はありませんが、同ホテルの取り組みの「見える化」が、宿泊客に優しく届けているということが分かります。
環境配慮が「押しつけ」ではなく、「気づき」や「共感」として伝わることで、滞在そのものが豊かな体験になるのだと感じました。

宿泊施設が、こうした取り組みが“選ばれる理由”になる時代。
「どんなホテルか」だけでなく、「どんな未来につながるか」を伝えることが、これからの宿泊体験の価値を高める鍵になるのかもしれません。