スリランカ発、サステナブルツーリズムの先駆者──Aitken Spence Hotels

① はじめに:Aitken Spence Hotels(エイトケン スペンス ホテル)とは
サステナブルツーリズムが世界的に注目される中、南アジアの島国スリランカから、ひときわ輝くホテルグループが存在します。
それが Aitken Spence Hotels。
スリランカのコングロマリット企業「Aitken Spence PLC」が運営するホテル部門。
1978年の設立以来、スリランカ国内だけでなく、モルディブ、オマーン、インドにも展開し、南アジア初の海外進出ホテル企業としての地位を築いてきました。
主なブランドには:
・Heritance Hotels & Resorts
・Adaaran Resorts
・Turyaa Hotels
などがあり、それぞれの地域に根ざした運営を行っています。
今回私がこのホテルに注目したのは、GSTC Auditor Trainning で講師が紹介していたためです。
②サステナブルな取り組みの象徴:Heritance Kandalama
スリランカ中部の自然豊かな地に佇む「Heritance Kandalama」は、Aitken Spence Hotelsのサステナビリティの象徴とも言える存在です。
- 南アジア初のGreen Globe認証ホテル
- 建築家ジェフリー・バワによる設計で、自然との調和を重視した建築
- 地元住民の雇用促進、文化体験の提供、地産地消の食材活用
- 廃棄物管理、水資源保護、エネルギー効率の向上など、環境負荷の最小化を徹底
ジェフリー・バワは、「熱帯建築」と称される自然と調和した独創的な建築デザインで世界的に高い評価を得たスリランカを代表する建築家です。
③レスポンシブルツーリストを生む:Travel Tips
Aitken Spence Hotelsのサイトには、「Travel Tips(旅のヒント)」というページがあります。
そこには、ホテルの宿泊者向けに、以下のような責任ある旅行のヒントが紹介されています。
”休暇を楽しむと同時に、訪れる人々や場所に良い影響を与える力も持っています。変化をもたらす方法は様々です。私たちは、責任ある観光と、すべての人にとっての持続可能性を信じており、休暇を過ごす際にも責任ある旅行者になっていただきたいと願っています。
客室案内やテントカードを通して、より責任ある観光客になる方法をご案内しています。ご訪問先の自然、文化、そして地域社会への敬意をお願いいたします。ゲストリレーションズ担当者は、お客様のご到着時に、地域社会との交流における適切な行動、特に宗教的に重要な場所を訪れる際の適切な服装規定などについてご説明いたします。
責任ある旅行者になるためのヒントをいくつかご紹介します。”
詳細は、実際のページを訪れて頂きたいのですが、見出しだけ紹介しますと実に18項目ものTravel Tipsが紹介されています。
1.温かくフレンドリーな人々
2.現地語
3.地域住民の権利、感情、プライバシーを尊重する
4.地元の人々や場所を撮影する前に許可を求めてください
5.地元の習慣
6.宗教施設を訪れる際
7.地元料理を試してみよう
8.交渉には公平に
9.露天商
10.地元の工芸品
11.写真だけを撮り、足跡だけを残す
12.子どもを守る
13.環境保護にご協力ください
14.エネルギーと水の節約
15.ゴミ
16.支援を継続
17.喫煙
18.輸送
旅は、ただの移動ではなく、人と文化、自然との出会いの連続です。
Aitken Spence HotelsのTravel Tipsは、宿泊客がその出会いをより豊かに、そして持続可能なものにするためのヒントとなっています。
また、こうした意識を育てる場として、ホテルの役割は非常に大きいと感じます。
宿泊施設が、地域社会や環境への配慮を宿泊客に伝えることで、旅の質は大きく変わります。
例えば: ・客室内に「旅の心得」カードを置く ・チェックイン時に簡単な説明をする ・サステナブルな行動を促すポスターや動画を館内で流す
こうした取り組みは、地域との信頼関係を築き、ホテルのブランド価値を高めることにもつながります。