Sustainable Tourism

ハワイ州の環境的に持続可能な観光

2022年2月8日

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Summary

観光公害は世界中の観光業で成り立っている地域で懸念を引き起こしている問題であり、気候変動はハワイ州の海岸線の70%を脅かしている。

ハワイの環境保全の強い伝統

l  古代ハワイの人々は日常生活の中で、外部から製品を「輸入」するという贅沢をしてこなかった

l  土地や海を生計のために頼り、それらの資源を、彼らの生涯だけでなく彼らの将来の世代のためにも持続してきた

l  先住民は陸と海と共に生き、資源を管理し、特定の資源を特定の時期だけに使用することを禁じ、資源が育成・再生できるようにするように複雑な社会システムを構築してきた

持続可能な観光

l  国連世界観光機関によって定義されている持続可能な観光とは、観光客、観光産業、環境、およびホストコミュニティのニーズを満たしながら、現在および将来の社会的、経済的、および生態学的な影響をすべて考慮する観光のこと。

l  ハワイ観光局によって、ハワイの自然、文化、および人的資産を尊重、育成、維持、および開発しながら、ハワイのコミュニティおよびビジネスに対する社会的および経済的利点を最大化する方法として定義されている

l  その結果、ハワイ各地の利害関係者が集まり、アロハ+チャレンジを形成。これは、資源管理の改善を通じて国連の持続可能な開発目標に掲げられた原則を守るという州全体の取り組み

州のホテル

l  大多数のホテルは、環境を保護するだけでなくコスト削減のためにも、グリーン技術を採用

l  ほぼすべてのホテルの部屋にカードがあり、タオルの交換が必要か、それとも再利用するか聞くようにしている

l  グリーンビジネスアワードプログラムなどのいくつかの州全体の組織は、環境を改善するホテルを表彰するプログラムを提供

州内のレストラン

l  多くのレストランは、すべての商品が店舗から100マイル以内で栽培、放牧、または捕獲されたものを使用

観光客がハワイとその周辺でできること

l  動物を触らない-ハワイには400種の絶滅危惧種がいる。

l  あなたのゴミ(そして他のゴミも)を持って帰る-私たち個人が世界のすべての廃棄物を排除することはできないが、将来のごみの発生を制限することはできる

l  交通機関の懸念―燃費が最も良いレンタカーを選び、また、暗い色の車よりもエアコンに必要なエネルギーが少ない白い車をリクエストする

l  トレイルにとどまり、荷物は持ち帰る-ハイカーは、8つの国立公園、51の州立公園、自然保護区がある。自分が通った後は、持ち込んだものをすべて片付け、ルートから外れないようにすること。

l  観光客としてのボランティア—農場仕事やビーチクリーニング活動に参加するか、または単にゴミを拾うかのいずれかで、時間と労力をボランティアで提供することは、どこでもできるハワイの最も本格的な文化体験の1つ

l  環境に優しいツアーオペレーターを促進する—認定された持続可能なツアーオペレーターを選択すれば、植樹や利益の一部が環境保全への還元につながる。観光消費がハワイの先住民の資源を保護し、支援するための最良の方法

日本初のゼロ・エネルギーホテル『ITOMACHI HOTEL 0』

愛媛県西条市に2023年5月にOPENした ITOMACHI HOTEL 0 は、環境省が定める「ZEB」認証を取得した日本初のホテルです。

愛媛県西条市に本社のある、半導体機器製造メーカーで再生エネルギーや地方創生、まちづくり事業も展開する株式会社アドバンテック社と、国内外で話題のホテルを手掛ける株式会社GOODTIME社が、隈研吾氏の建築設計により開業しました。

予約時に無理を言って、ホテルの話を伺いたいと申し出たところ、なんとGOODTIME社の明山社長がお見えになり、館内外をご案内くださいました!

ゼロエネルギーの仕組みが一目で理解できるインフォグラフィックス

ホテルのレセプションに到着するとまず目に飛び込んでくるのは、インフォグラフィックス。
(そこまで目立つように置かれているわけではないのですが、私のように、ゼロエネルギーを目的として泊まりに来る人にとっては目に飛び込んでくるはずです)
以下で紹介するのはデモ画面ですが、ホテルが消費しているエネルギー量と生み出しているエネルギー量が掲載されています。
ZEBのために蓄電池とコージェネ(CGS発電機)も用意したものの、開業以来使用したことが無く、太陽光発電で全てまかなえているとのことでした。
また災害時の避難所としても機能するように、電力供給が止まっても72時間自家発電で電気が使えるようになっています。

水道代が無料の西条市

西条市は湧き水が豊富で、上水道が無料の市としても知られています。
水の豊富な西条市ならではで、客室には水の流れる仕組みがみられる透明の蛇口があります。

サステナビリティを徹底した客室アメニティ

客室には当然ペットボトルの水は置いておらず、西条の湧き水が入ったボトルが用意されています。客室からウォーターボトルに水を汲んで出かけることも出来るし、街中で水を汲むことも出来ます。
併設する『いとまちマルシェ』で買い物をするときにも使えるエコバックも用意されています。

滞在に便利な設備『ゲストキッチン』を併設

宿泊スタイルは、朝食付きプランはあるものの、夕食は提供しておらず『いとまちマルシェ』や近隣の飲食店を紹介しています。あるいは、ホテル内にキッチンがあるのでよそで購入したものを持ちこんで調理をすることも出来ます。
訪問者に滞在中に街中に出てもらうことは、ホテルがサステナブルな地域づくりに貢献するのに重要な視点です。

サイクリストの滞在にも最適!

客室内にそのまま自転車を持ち込める仕様となっている上、駐輪場、コインランドリーもあり、サイクリストの滞在にも適しています。サステナブルツーリズムへの相性も抜群です。

『愛媛のたのしみ』を0から体験―愛媛づくしのホテル

  • 客室の色調は、伊予青石を基調にしたブルー
  • 朝食は、地元愛媛の産地から仕入れた旬の野菜や果物を使用
  • 砥部焼の窯元「遠藤窯」によるオリジナル湯呑と急須
  • 松山市「ICOI COFFEE」によるオリジナルドリップパック
  • 西条発の銘菓「たぬきまんじゅう」
  • 愛媛有数のお茶どころ新宮町で、古くから新宮茶のパイオニア「脇製茶」の緑茶
  • 愛媛在住の和紙デザイナーによる和紙アート
  • 西条の水の音をサンプリングした自動温泉構築システム「AISO」による館内音楽

等々、愛媛にどっぷり浸かった滞在ができます。愛媛を中心にホテル建設にかかわった方々が紹介されたパネルもあります。

ITOMACHI HOTEL 0 の生まれた経緯

実はこのホテル。ホテルありきで造られたのかとと思いきや、アドバンテック社が西条市の住民から意見を募って作られたのだそうです。
同社が再生可能エネルギーの拠点づくりのために地方をめぐる中で「人がいない」「何もない」「活気がない」という日本の地方都市の厳しい現実を実感させられました。地元西条も例外ではなく、「街のにぎわいを取り戻したいこと」、「若者や挑戦する人にチャンスを与えられる街にしたいこと」の2つを趣旨にした上で、隈研吾さんとプロジェクトを始動。住民の意見を取り入れたところ、ホテルという拠点が採用されたとのことでした。
どうしても「日本初」という冠にはこだわりたかったという明山社長。
水資源が豊富な西条市というブランドとも相まって、日本初のゼロエネルギーホテルが完成したようです。
オープン後は、市民から「帰省した親族が泊まる場所ができた」と喜ばれているそうです。

ITOMACHI HOTEL 0 を訪れてみて

念願叶って訪れたITOMACHI HOTEL 0では、

  • ゼロエネルギーを視覚にして伝えるインフォグラフィックス
  • 愛媛県産のものをとことん追求・表現した設備、備品、アメニティ、食事
  • ゼロエネルギーホテルを謳いながらも僅か60㎡の客室に最新のエアコンが3台も設置されていること、それが必要ないほどの客室の機密性の高さ
  • ホテル外への回遊を促す滞在の提案
  • 宿泊客に媚びる(主張する)ことなくスタイリッシュにサステナビリティを実現していること
  • 地元住民の声から生まれて、支持されているホテルであること
  • 災害時の避難拠点となっていること

等、私にとっては興奮ものでしたが、私のように”ゼロエネルギー”が滞在動機となり泊まりにくる客は全体の3%程度だそうです。(企業や団体の視察は除く)

明山社長も、「なんか素敵なホテルだな」とか「評判の良いホテルだから」と泊まりに来たら、実はゼロエネルギーホテルだったと気付いてくれる位で良いと思っている とのことでした。

旅行者がサステナビリティに熱心に取り組んでいる宿を選ぶという消費行動はまだまだ先の話になりそうですが、サステナビリティに取り組む宿に泊まった事実というのは、結果的に宿泊客にとって後味の良いものになるのだろうと思います。
宿泊業では、滞在前と滞在中の印象を良くすることは比較的手が付けやすくアイデアも出やすいですが、滞在後の印象を良くすることは難しく、ハードルが高いものです。
その点、サステナビリティ経営に注力している宿は滞在後の評価を上げることができるのが大きなアドバンテージとなるのだろうと考えさせられた滞在となりました。


Sentosa Development Corporation has joined as a Member of the Global Sustainable Tourism Council (GSTC)

Global Sustainable Tourism Council(GSTC)とは、グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会は、世界的な旅行および観光分野における観光産業界の専門家や、政府機関のための持続可能な開発の基準を定め、管理する国際非営利団体です。