Green Globe認証-旅行・観光業界における国際的なサステナビリティ認証

①はじめに:Green Globe(グリーン・グローブ)とは
1992年に設立され、現在は世界80カ国以上でホテル、リゾート、会議場、クルーズ船などに認証を提供している、ロンドンを拠点とする民間団体です。
Green Globe認証は、環境・社会・文化・経済の4つの分野にわたる44の基準と約385の指標で施設の持続可能性を評価します。
適用される指標は、認証の種類、地理的地域、そして地域的要因によって異なり、この規格は30年以上にわたって開発され、最高レベルの持続可能な事業運営と管理を保証しています。
私がこのGreen Globe認証のマークを意識したのは、ClubMedに宿泊した時だったと記憶しています。
②認証取得を満たす:44の基準と380超の指標
Green Globeの認証基準は、1992年にリオデジャネイロで開催された国連地球サミットに遡ります。
このサミットは、世界182か国の首脳がグループとなって、再生不可能な資源の消費が環境悪化につながっていることを認め、持続可能な開発の原則「アジェンダ21」を承認したことで有名です。
2010年には、GSTCのホテルおよびツアーオペレーター向けの持続可能な観光の世界基準にGreen Globe基準を整合させ、GSTC公認基準となり、持続可能な旅行と観光のグローバル認証基準であり続けています。
先述のとおり、基準はGSTS公認基準となっていることもあり、環境/持続可能な経営/社会経済/文化遺産と、他の認証等と同じように4つの柱で成り立っています。
・各指標は、「適合」(1 ポイント)、「不適合」(0 ポイント)、「該当なし」として評価されます。
・該当しない項目はクライアント スコアにカウントされず、該当しない項目ごとに必要な合格スコアから 1 ポイントが差し引かれます。
たとえば、基準に 8 つの項目があり、2 つが「該当なし」と判断された場合、必要な合格点は 3 (つまり、残りの該当する 6 項目の 50%) になります。
・認定された第三者監査人がオンサイト監査プロセス中に各コンプライアンス指標を採点し、関連基準の全体的なコンプライアンスを評価します。
・Green Globe認証基準の下で完全な認証を受けるには、施設・企業は関連指標で 50% を超えるスコアを達成することにより、44 の基準のそれぞれに準拠する必要があります。
③ステータス:Certified Member、Gold Member、Platinum Member
・Certified Member・・・必須基準を満たし認証を得た会員(施設・企業)
・Gold Member・・・5年連続で認証を継続した会員に授与される
・Platinum Member・・・10年連続で認証を継続した会員に授与される
このような継続アワードは、GreenKeyやさくらクオリティ等、他のサステナビリティ認証には見られない制度で、継続のインセンティブを与える興味深い仕組みです。
④取得施設一例:日本国内
宿泊施設がサステナビリティ認証を選ぶ際、最も重要なのは「自社に合った認証を選ぶこと」です。
著者はGreen Key認証の審査員としての経験がありますが、他の認証制度にも関心を持ち、今回のブログではGreen Globe認証を取り上げました。前回の記事で紹介した「ヘリタンス・カンダラマ」が取得していたことも、取り上げた理由のひとつです。
国際的な枠組みと信頼性
Green GlobeやGreen Keyは、Tourism Sustainability Certifications Alliance(TSCA)のメンバーであり、いずれも最新の動向を踏まえた基準の質を担保しています。その他の認証も、このように多くは第三者機関から認定を受けるのが主流となってきています。
つまり、ある程度の歴史、実績を有した認証であれば、いずれの認証も一定の品質と信頼性が担保されており、「どちらが優れているか」というよりも、施設の規模や運営方針、予算、地域性などに応じて選ぶべきです。
認証選びのポイント
・費用:認証取得・維持にかかるコストは認証機関によって異なります。
・審査方法:現地監査の有無、頻度、審査項目の数など。
・施設のタイプ:リゾート、ビジネスホテル、旅館など、施設の特性に合った認証か。
・地域との親和性:地域の観光協会やDMOが推奨している認証かどうか。
・ブランド戦略:国際的な旅行者向けか、国内の環境意識の高い顧客向けか。
認証は「取得して終わり」ではない
認証は、取得後も継続的な改善と報告が求められます。第三者機関による審査や更新プロセスを通じて、施設のサステナビリティへの取り組みが進化していくことが期待されます。
ご相談ください
もし「どの認証が自社に合っているか分からない」「取得を検討しているが不安がある」といった場合は、ぜひお気軽にご相談ください。認証取得のサポートや、審査準備のアドバイスも可能です。